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おかしなワインメダルにノー(オーストラリア) 2005年4月7日
オーストラリアのワインメーカーとワイン販売者は、ワインのラベルに認められたワインショー以外のゴールド、シルバー、ブロンズといった受賞メダルを貼ることを禁止するという新たな自主規制に賛同している。多くのワイン業界関係者は、この規制がより消費者にプラスにはたらくとして今回のこの動きを支持している。
関係者は、『いくつかのワイナリーは、そのワイナリーがどれだけ多くのゴールドメダルを獲得したかを喧伝しているが、これは危険なことだ。消費者は、それを見て安心感を持つかもしれないし、特に贈り物として使うときには相手に好印象を与えると考えるかもしれない。しかし、いまや(オーストラリアの)消費者はかなりワインのことをよく知ってきたので、メダルが貼ってあるワインを買って飲んだときに、それがその価値に値しないワインだと多くの消費者が思えば、市場が混乱に陥ってしまう。』と言っている。
また、『いい加減なワインに受賞メダルを貼らせないという今回のこの動きは、まじめにワインを造っている中小のワイナリーにもプラスになるし、何より消費者に自信を与えることにもなる。そして結果としてオーストラリアのワイン産業にとってプラスにはたらく。』としている。
『今回のこの業界自主規制は、各地で乱立しているあやふやであったり、どこかの大きな会社がスポンサーとなって運営されているワインショーシステムにお墨付きを与えるということが排除され、きちんとした権威を持って見られるワインショーにだけがそのステータスを保つことになる。』としている。
この新規制は、2005年のヴィンテージ以降のワインに適用され、その基準はAustralian Wine and Brandy CorporationとAustralian Society of Viticulture and Oenologyとの連携のもとで策定され、ゴールド、シルバー、ブロンズのそれぞれのメダルがワインボトルに貼付することが許されるのは、そのワインショーが公開され、独立した機関が行った場合に限るということになる。
ワイン生産者は、公認されたワインショー以外の受賞歴やその他プロモーションのためのラベルをワインに貼りたいと思うかもしれないが、そのときは、公認されたショーのメダルと色や形を完全に変えなければならない、としている。
【コメント】
現在オーストラリアでは、ワインショーと称するものが各地で乱立していて、多くのワイナリーがワインショーでメダルを取ったということを売りにしてそのシールをワインに貼っています。しかし、そのショーの中身はよくわからず、どういう経過でそのワインが受賞したのかとか、主催母体がどういった組織であるのかということもあいまいになっているワインショーも目立ちます。
かつてはワインショーというのは数えるほどしかなく確かによく吟味され、権威があった時期もあったのですが、いまやワインボトルにはメダルがペタペタ貼ってあり、どうしてこれがメダルを取ったワインなのかと首をかしげるものも非常に多いというのが現状です。しかし、消費者は自分たちはワインについては素人なので、本当はいい加減なワインであるにもかかわらず、プロが判定したワインのほうがやはりいいワインに違いないと思ったりしてしまいます。これでは消費者が混乱してしまうというのです。
この場合、本当は消費者の判定のほうが正しいわけですが、ワインの供給側がいい加減なワインにお墨付きを与えて消費者をミスリードしていて、この事態は、消費者・生産者・流通双方にとってよいことではない、と言っているのです。今回のショーメダル貼付の規制の動きは、こうしたマーケットの傾向を是正するためのものといえましょう。